お客様の「一周回ってまた来ます」は信じていいのか
9割は戻ってこないという現実と向き合う
フリーマーケットで出店した経験がある人なら、誰しも一度はこの言葉を聞いたことがあるはずです。
商品を手に取り、熱心に見て、値段交渉までしたかもしれないお客様が、最後に言い残す言葉。
ちょっと一周見て回ってから、また来ます。
この言葉を聞いた瞬間、出店者の心には、キープされた・後で売れるかもしれないという淡い期待が生まれます。
しかし、ベテランの出店者に聞けば、誰もが口を揃えてこう言うでしょう。
「その言葉は信じてはいけない」と。
経験則として、このセリフを残して去ったお客様のうち、実際に戻ってくるのは1割にも満たないのが現実です。
なぜお客様はこのような言葉を言うのでしょうか。
それは決して悪意があるわけではなく、日本人特有の「断りの美学」が働いているからです。
面と向かって「いりません」「気に入りませんでした」「高すぎます」と断るのは、相手に対して失礼だと感じたり、気まずい雰囲気になったりするのを避けたいという心理が働きます。
これは、洋服店で店員さんに声をかけられた時の「ちょっと見てるだけです」に近い、一種の社交辞令や挨拶のようなものだと捉えるべきです。
ですから、この言葉を真に受けて「あの人が戻ってくるまで待とう」と期待するのは禁物です。
ご縁がなかったんだな・丁重にお断りされたんだなと瞬時に気持ちを切り替え、次のお客様への対応に集中することが、精神衛生上も売上アップのためにも重要です。
取り置きを頼まれた場合のスマートな対処法
中には、本当に悩んでいて他のお店と比較したいと考えているお客様もいます。
そうした場合、「戻ってくるまで、これ取っておいてくれませんか?」と取り置きを依頼されることがあります。
ここで注意が必要なのが、安易に無期限の取り置きを受けないことです。
「また来ます」と言ったきり戻ってこないリスクがある以上、商品を確保し続けることは、他のお客様に売るチャンスを自ら放棄すること(機会損失)になります。
もし取り置きを受けるのであれば、必ず双方のために明確なルールを設けましょう。
「わかりました。では30分だけお取り置きしておきますね。11時までに戻られなかった場合は、店頭に戻させていただきますのでご了承ください」と、具体的な時間を伝えて合意を得ることが大切です。
期限の時間を過ぎたら、店頭の一番目立つ場所に戻しましょう。
奇跡的に戻ってきてくれたときの「神対応」
期待はしないほうが良いと強調しましたが、それでも稀に、本当に一周回って戻ってきてくれるお客様もいらっしゃいます。
数あるブース、数ある商品の中から、他と比較検討した上で、あなたのお店の商品を選んでくれたのです。
これは出店者として、商品が即決で売れる以上に嬉しい瞬間かもしれません。
そんなときは、素直に喜びと感謝を表現しましょう。
「戻ってきてくれて本当に嬉しいです!」と満面の笑みで迎えてあげてください。
そして、もし可能であれば、ここがリピーター獲得やファン作りの最大のチャンスです。
「戻ってきてくれたので、消費税分おまけしますね」とか「感謝の気持ちで、端数切っておきますね」といった、ちょっとしたサービスを提案してみてください。
すでにお客様は買う気満々で戻ってきていますが、そこで予想外のサービスを受けることで、満足度は最高潮に達します。
「またこの人の出店に来たいな」と思ってもらえるような、心温まる取引ができるはずです。
基本的には戻ってこないと割り切り、もし戻ってきてくれたら最大級の感謝で迎える。
この適度な距離感とホスピタリティのバランスこそが、フリマの達人への道と言えるでしょう。
